2024年05月19日( 日 )

【唐津街道中膝栗毛/前編】開発の波に呑まれ、往時の面影はわずか 唐津~博多の旧宿場町

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

福岡(福岡市中央区)

黒田藩五十二万石の城下町、城以外の面影はほぼ皆無

左:下之橋御門と潮見櫓 / 右:かつての街道筋
左:下之橋御門と潮見櫓 / 右:かつての街道筋

 城下町福岡は、関ヶ原の戦いで功績を上げた黒田長政によって築かれた福岡藩(黒田藩)・福岡城の城下町である。福岡城は梯郭式(ていかくしき/本丸を最も奥まった場所に置き、二の丸、三の丸がL字型に取り囲む配置の城の様式)の平山城で、天守台はあるものの天守閣はなく、天守閣が存在した可能性については意見が分かれている。商人の町であった博多に対し、城下町福岡には武家屋敷が軒を連ねていたとされる。城下町内の街道筋は、主に現在の明治通りのやや北側や、昭和通りなどを通っており、簀子町(現在の大手門1~3丁目)あたりが宿場の中心であったという。また、簀子町とその東の大工町の境には制札場(布告や禁令の制札を立てておく場所)と人馬継所があったとされており、「札の辻」とも呼ばれた。

 現在は、福岡城跡の石垣や御門、櫓などのほかには、かつての城下町の面影はほぼ皆無。街道筋にあったとされる水鏡天満宮などの神社仏閣は残っているものもあるが、それ以外では古い町屋などは残されていない。すぐ近くで大規模再開発プロジェクト「天神ビッグバン」などの激しい都市開発が行われている福岡市の中心部であることから、そうした開発の波に呑まれるのも致し方ない部分はある。周辺のマンション開発も旺盛で、(株)NIPPO(東京都中央区)による「ル・サンク大濠公園」(70戸、20年6月竣工)や明和地所(株)福岡支店による「クリオ ラベルヴィ赤坂」(57戸、21年1月竣工)、(株)フージャースコーポレーション(東京都千代田区)による「デュオヴェール大濠公園CLASS」(20戸、21年8月竣工)、(株)プレサンスコーポレーション(大阪市中央区)による「プレサンス ロジェ 大濠公園」(47戸、22年10月竣工予定)など。そのほかに、14年4月に閉校となった簀子小学校の跡地では、(株)桜十字(熊本市南区)を代表企業とし、JR九州ほか6社からなる企業グループが、「簀子小学校跡地活用事業」として病院棟と高齢者施設棟の2棟のビルのほか、体育館棟や広場などからなる複合施設の開発を進めている。

左:西公園入口 / 右:福岡城跡
左:西公園入口 / 右:福岡城跡

【坂田 憲治】

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事