ららぽーと開業で変わる!?博多SOUTHと南区・大橋(2)
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青果市場を中心とした静かな存在感
ららぽーと福岡が立地する博多区那珂や隣接する竹下などのエリアは、1955年に福岡市に編入されるまでは「筑紫郡那珂町」だった。戦後の復興期にかけての那珂町は、農地としての土地利用がなされ、農村地域として栄えてきたほか、当時の福岡市と交通・産業・経済の面で同一圏内にある立地を生かして、主に住宅街としての開発も進行。また、竹下エリアでは工場や商店街などが立地していた。
そして68年9月、福岡市中央卸売市場・長浜本場の青果部が移転するかたちで、旧青果市場が那珂6丁目で開場。すると、青果市場の周辺には関連する卸業者の営業所などのほか、めんたい工場や牛乳工場なども集積。青果市場のすぐ横を通る幹線道路・筑紫通りの沿線を中心に、都市開発が進行していった。72年4月には、福岡市の政令指定都市への移行にともなって同エリアも博多区に組み込まれた。75年5月には、御笠川と、その支流である諸岡川が合流する地点の那珂4丁目に、福岡県で最初の流域下水道事業として「御笠川浄化センター」が供用開始。同浄化センターは福岡市のほか、筑紫野市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市の計6市の汚水を処理する終末処理場として、その役割をはたしている。
その一方で、2000年代以降になると、博多SOUTHエリア内にも複数の商業施設が相次いで開発。05年11月開業の「コマーシャルモール博多」(東光寺町2丁目)を皮切りに、06年11月の「ドン・キホーテ福岡空港南店」(西月隈1丁目)、08年3月開業の「フォレオ博多」(東那珂1丁目)、09年11月開業の「博多ミスト」(諸岡3丁目)などだ。いずれも中規模の商業施設だが、主に筑紫通りなどの幹線道路沿いに分散配置されるかたちで立地しており、地域住民の生活利便性の向上に寄与。これらの商業施設の存在は、エリア内にそれだけのニーズがあることの証左でもある。
このように青果市場があったころの博多SOUTHには、住宅地のほか、青果市場に関連する卸業者の倉庫、工場、そして複数の商業施設などが集積。どちらかといえば福岡市内でもあまり派手さはないものの、市民生活のうえでは欠かすことのできない役割をもった“いぶし銀”的なエリアとして、静かな存在感を放っていた。ただし、青果市場という一般の人が立ち入れない施設があった関係上、エリア内にはやや閉鎖的で暗いイメージも付きまとっていたのはたしかだ。
【坂田 憲治】
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