工業都市からスーパーシティへ、九州2位・北九州市の栄枯盛衰(5)
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再開発注目の八幡東区、多様性に富む八幡西区
八幡東区は、官営八幡製鐵所の操業以降、製鉄業で栄えてきたまちで、今なお“ものづくりのまち・北九州”のシンボルとして東田第一高炉跡が屹立するほか、15年に世界遺産登録された「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産もいくつか存在。また、区南部は山間部となっており、皿倉山をはじめとする豊かな自然が広がっている。区役所周辺に位置する丸山・大谷地区などの斜面地では、高度成長期のスプロール化を象徴するように多くの住宅が密集。市が市街化調整区域へと再編入する“逆線引き”の検討を行っている。
そんな八幡東区内で今最もホットな話題は、17年末に閉園した東田地区のスペースワールド跡地で進められている地方創生型商業施設「THE OUTLETS(ジ アウトレット)」の開発だ。約27万m2の敷地をアウトレットとエンターテイメントの2つのエリアに分けて開発が進んでおり、22年春の開業予定となっている。また、今年4月には同じく東田地区を舞台に、国が進める「スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する公募」に対し、「北九州市・東田 Super City for SDGs構想」として北九州市が応募した。今後、全国31地方公共団体の応募のなかから北九州市が特区に指定されれば、八幡東区の様相は一変していくことだろう。同区内では現在、(株)九州三共の「リヴィエール祇園さくら通りヴェリエ」(総戸数22戸、20年9月竣工)や「リヴィエール中央町ミリア」(総戸数39戸、21年9月竣工予定)などの開発が進んでいる。
市内7区のうちで最も人口が多く、実に市全体の約4分の1の人口を擁しているのが八幡西区だ。北九州市の副都心に位置付けられている黒崎や、駅を中心に利便性の良い学園都市を形成している折尾、13年3月にコストコホールセール 北九州倉庫店が開業し、近年住宅地としての人気が高い本城、駅前再開発が進む陣原、さらに洞海湾の臨海部に広がる八幡東区から連なる工業地帯など、区内はエリアごとに多様性に富んだまちづくりが進んでいる。ただし、かつては小倉都心部に次ぐ商業集積地として賑わっていた黒崎は、駅前百貨店の閉店や駅前商店街のテナント撤退などが相次ぎ、駅前中心部の賑わいが失われて久しい。
そんな八幡西区では、元気のある区西部の折尾や本城エリアを中心に、辰巳開発(株)の「セレンシオ折尾ソラディア」(総戸数38戸、20年5月竣工)、なかやしきの「ライブスクエア光貞台」(総戸数83戸、21年10月竣工予定)などのマンション開発が進んでいる。
(つづく)
【坂田 憲治】
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