賑わい創出や安全性向上に寄与、ICT&AIを活用した人流分析(後)
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車イスのバス乗車を支援、将来的には密回避なども
もう1つの「都市空間における見守りサービスの構築と実証」は、九州大学の最寄り駅となるJR九大学研都市駅の駅前に設置したカメラの映像をAIで解析し、バスに乗ろうとする車イス利用者を検知して、乗車時の支援につなげようという試みだ。これは駅前のバス案内所とバス停に設置された計8台のカメラによって周囲を撮影した画像をAI解析し、バス停に近づく車イスを検知すると、バス案内所のスタッフのスマホに通知が行く仕組み。従来であれば、車イス利用者が事前に乗車の連絡をする必要があったが、今回の実証実験により、利用者側の手間を省くと同時に、スムーズな乗車支援も可能となる。同実証実験は21年6月25日から22年3月末まで行われる予定だが、今後は反復学習でAIカメラの精度を高めることで、車イス利用者だけでなく、白杖をもつ視覚障がい者やベビーカーなども検知できるようにしていくという。
「将来的には、安心・安全な移動空間の創出とまちの賑わい創出だけでなく、たとえばセンサーなどによって周辺スポットの混雑状況を集約し、アプリなどを通じて情報を発信して人を分散させて『密』の抑制につなげたり、エリアの回遊を促進するSaaS(サービスとしてのソフトウェア)型のビジネス化のような利用方法も検討していきたいですね」(高野氏)。
まだそれぞれが実証実験の段階だが、今後、データの蓄積や知見の集積、活用法の検討などが進んでいくことで、こうしたICT&AIを活用した人流分析が、都市の利便性や住みやすさのさらなる向上に寄与していくことが期待される。
(了)
【坂田 憲治】
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